副住職ミニ法話②〜理不尽な人間関係に悩んでいる方へ〜お釈迦様からのメッセージ

一切皆苦という教えから学ぶべき私達の生き方

 

お世話になっております。善光寺副住職でございます。

世間ではゴールデンウィークですね。この時期は交通量の増加により、交通事故が多発しております。この動画にあるように、悲しい死亡事故が全国各地で起きています。

 

 

私も「家に帰るまでが遠足」という言葉を胸に、外出する際は最後まで安全運転を心がけていきたいものです。皆様もどうか渋滞に巻き込まれても安全運転を心がけて参りましょう。

 さて、本日は2回目のミニ法話となります。前回のミニ法話はこちらからご覧ください。

 

 私は日々僧侶として活動している中で、皆様からよく人生相談を頂きます。
 皆様それぞれに様々な悩みがあると思います。
 しかし、多くの悩みに共通する悩みがあると思います。
 

 

 それは間違えなく「人間関係」に関わるものです。


 

 例えば、学生の方の場合、悩みの内容はクラスや部活動の人間関係に基づくものがほとんどです。
 社会人の方の場合、上司や同僚、取引先の方との人間関係などがほぼ全てです。

 

 そして人間関係の悩みの中でも多いのが、立場が上の人との関係性です。


 

 誰しもが、目上の人から理不尽な事を言われ、拳を握り締め我慢した経験があると思います。
 理不尽な言葉を飲み込み我慢するというのは想像を絶するストレスだと思います。
 世の中は理不尽であるとはいえ、とても悔しい気持ちだったと思います

 

 

 このような理不尽な目にあった時、一体どうすれば良いのでしょうか。

 

 仏教的に考えてみましょう。
 

 

 まず、理不尽な相手に言い返す事は推奨できません。
 お釈迦様は次のような言葉を残されています。

 

 実にこの世においては、怨みに報いるに怨みを以てしたならば、ついに怨みの息むことがない。怨みをすててこそ息む。これは永遠の真理である。

中村 元. ブッダの 真理のことば 感興のことば (Japanese Edition) (Kindle の位置No.76-79). Kindle 版

 

 この言葉を解説すると、「この世において怨みは怨みによって静まるのではなく、怨みを忘れることによってのみ静まる」という意味です。

 

 もし、相手の理不尽さに対し怒りをぶつければ、その怒りは相手に伝わります。理不尽な相手に対して怒りを手放すことが一番の解決策になるとお釈迦様は仰っているわけです。

 

 

 しかし、これは頭ではわかっていても実践するのは非常に困難なことだと思います。
 その上で役に立つ教えが「一切皆苦」という言葉です。

 

 

 この一切皆苦という言葉は「この世の全ての事は何一つ思い通りになる事はない」という意味でございます。
  当たり前のように聞こえますが、全て自分の思うがままにできることなど何一つございません。
 例えば、宝くじは買っても中々当選しません。急いで運転している時に限って渋滞に巻き込まれる事もあります。
 

 

 この世の中には自分の思い通りなることなど何一つありません。

 

 

 しかし、この言葉をもっと深く考えてみましょう。
 物事に対して思い通りにならないという不満足な心を持っているのは誰でしょうか?
 

 

 それは自分自身です。
 物事に期待して、その期待が叶わないと不満足な心を持ってしまうのが人間です。
 

 

 もしかすると宝くじが当たるかもしれない、渋滞に巻き込まれずに目的地に早く着くかもしれない。
 思い通りにならないことに対して期待する心が不満足な心の原因でしょう。
 

 

 つまり、一切皆苦という言葉には
思い通りにならない世の中に対して、自分の思い通りにできると期待する思い上がった自分自身の心が苦しみを生んでいる」と捉える事ができます。
 

 

 期待すればするほど、その期待が裏切られた時には苦しむことになります。

  

 この世の全ての事は思い通りになりません。
 

 「一切皆苦」という言葉を胸に、理不尽な相手に期待することはやめましょう。
 相手は変えられません。
 

 むしろ、思い通りにならない相手から思い通りにならない理不尽さが降りかかってくるのも、一切皆苦という教えで考えれば仕方ないことだと思えるでしょう。

 

 私たちが生きていくこの世界は理不尽なことで溢れています。
 生きていく上で、理不尽な人間関係からは逃れられません。

 

 

 よほど理不尽なことでない限り、深く考えずにさらりと流しましょう。
 理不尽なことに対して、深く考えて良い事は何一つないと思います。

 

 「一切皆苦」という言葉を胸に、物事に期待する自分自身の思い上がった心をなるべく抑えて、思い通りにならないこの世界を、気を楽にして生きて参りましょう。

 善光寺 副住職

 

 おまけ① 一切皆苦を扱った動画

皆様にわかりやすく一切皆苦を伝えている動画を探しましたが見つかりませんでした。
僧侶の方が説明している動画はどれも一般の方には難しいと思いました。
しかし、仏教系お笑い芸人さんのみほとけさんが「一切皆苦」をネタにした動画を挙げていました。一切皆苦に興味を持った方にはオススメの動画です。

 

この動画を見て頂くと、「世の中は思い通りにならない事で溢れている」事が面白い要素満載でわかると思います。

 

 

 おまけ② 記事で使った本

 記事の途中でお釈迦様の言葉をこちらの本から引用しました。

 非常に難しい本になりますので、一般の方にはオススメできません。
 しかし、辞書のように使う分には大変便利ですので、一般の家庭にも一冊はあっても良いのかなと思いました。

また次回の投稿もよろしくお願いします!

書籍紹介② 「小さな幸せの見つけ方」(アルファポリス)著者:大來 尚順

 仏法を日常生活で実践する上で非常に参考になる良書です

 皆様お世話になっております。善光寺副住職でございます。

以前、書籍紹介の記事を投稿させて頂きました。

 今回の記事は以前の投稿に引き続き、書籍紹介の第二弾の記事となります。

 今回紹介させて頂く本も、私が自信を持って浄土真宗の門信徒の皆様にオススメできる良書です。どうか最後まで読んで頂けたら嬉しいです。

 

 今回の書籍紹介の前に、ご紹介させて頂きたい記事がございます。

 こちらの記事は私が作ったミニ法話です。
 まずこちらの記事を是非読んで頂きたいと思います。
 

 こちらの記事で、私達は蓮如上人が残された言葉「聖教読まずの聖教読み」を目指すべきだというお話をしました。
 つまり、仏法を知識として溜め込むのではなく、仏法を日常生活に落とし込み、心豊かな生活を歩む事が大切だという事です。仏法が心に生きているかどうかが重要です。

 その上で、「聖教読まずの聖教読み」を心がけ、心豊かな人間を目指す私達にとって非常に参考になるのが今回紹介させて頂くこの本です。

「小さな幸せの見つけ方」 (アルファポリス) 著者:大來 尚順

 著者の大來尚順氏は浄土真宗本願寺派の僧侶として活動されている傍ら、海外での経験を活かして翻訳に仕事などもされていらっしゃいます。

 この本では仏教の教えに基づいて、日常生活の中の小さな幸せに気づく事、幸せな生き方について考えられた本です。

 この本の素晴らしい点は、仏教用語がほとんど使われていないという事です。
にもかかわらず仏教の教えがふんだんに盛り込まれています。

 つまり私たちが仏教の教えをすんなりと日常生活に落とし込む事ができるように、この本ではとにかくわかりやすく仏教の教えが書かれています。

 例えば、本書23ページにはこのように記されています。

目まぐるしい日々の生活に追われ、自分が余計なことばかりに気を取られすぎていて「本来自分が集中すべきことを大切にしていない」と反省させられました。


「小さな幸せの見つけ方」 (アルファポリス) 著者:大來 尚順

 これは、恐らく仏教の八正道の正念という教えから導き出した教えだと考えられます。

 その他にも、例えば93ページにはこのように記されています。

 

実は世の中は私たちを支えてくれている思いで溢れています。そういう意味では、誰も孤独ではないのです


「小さな幸せの見つけ方」 (アルファポリス) 著者:大來 尚順

 これは仏教の縁起という教えから考えられた言葉だと思います。

 他にも直接言葉としては書かれていませんが、
対人関係に悩んだ時には和顔愛語、人との比較で悩んだ時には少欲知足など
仏教の教えが日常生活に溶け込むように、とにかくわかりやすく書かれております。

 仏教の教えを通して日々の生活を見直し、幸せとは何かについて考える。そして身近な幸せを発見していく。それが本書のテーマです。

 そして、この本書のテーマこそが冒頭でもお伝えした「聖教読まずの聖教読み」につながるのではないでしょうか。

 大切なことは仏教をただ知識として知っているのではなく、仏教の教えに基づいて心豊かな人間になることを目指して人生を歩んでいくことです。

 これから仏法を学ぶ方、日常生活で仏法を実践したい方、人生に悩まれている方、幸せとは何か悩まれている方は是非本書を読んで頂きたいと思います。

 私自身、日常生活で仏法を実践しながら、心豊かな人間に近づきたいと願うばかりです。

 善光寺 副住職

書籍紹介①「これからの供養のかたち」 (祥伝社新書)著者:井出悦郎

葬儀や法要で不安を抱えている方にこそ読んで頂きたい良書です。

皆様お世話になっております。浄土真宗本願寺派善光寺副住職でございます


本日は、皆様に是非紹介させて頂きたい本をご紹介させて頂きます。

 「これからの供養のかたち」 (祥伝社新書) 著者:井出悦郎

 著者の井出悦郎氏は、寺院のコンサル業務や、寺院と一般の人々を結ぶポータルサイト「まいてら」を運営しております。

この本では主に一般の方々の視点に立って、理想的な法要を行うために多角的な視点からアドバイスを書かれています。

終活を意識されている方などは是非読んで頂きたい一冊です。

この本を読んで特に皆様に読んで欲しい一節がございます。

それは第三章:「失敗する供養」の冒頭に出てくる悪質な葬儀会社についてです。

この章の冒頭では、大切なお母様を亡くして病院で呆然としている方が、悪質な葬儀会社の営業マンに騙され当初の予算の三倍近く葬儀費用を取られてしまうエピソードが紹介されています。

  • 最終的な見積もりをあえて出さずに全て終わってから請求書が送られてくる
  • 打ち合わせが終わったら担当者はもう2度と出てこない
  • 家族葬を希望していたのに、大きな会場にされ、会場料や音響使用料を取られる

私も読んでいて信じられないような話が書いてありました。そしてそのエピソードは最後に以下のように締められます。

 

人生で何度も喪主をすることがないので知識と経験はたまりにくく、そこが百戦錬磨の葬儀担当者が付け入るスキになるのでしょう。高すぎる授業料になりましたが、この経験が今後に活かされる機会がほとんどないと思うと、残念でなりません。
p116 「これからの供養のかたち」 (祥伝社新書) 著者:井出悦郎

このエピソードは少し極端だと思いますが、このような業者がある事は事実だと思います。

ただ、私も普段僧侶としてご一緒にお仕事させて頂く中で、素晴らしいと感じる葬儀会社様は世の中にたくさんあります。

では、そういった葬儀会社様を見つけるにはどうすれば良いか。

それは非常にシンプルで事前相談をすることです。

この本の中でも再三にわたり事前相談を推奨しております。

葬儀会社様もお寺も事前に相談して比較検討することが非常に大切です。

家族が亡くなると、正常な思考・判断が難しくなる可能性が高いことを忘れない。
したがって、あらかじめお寺や葬儀社を探しておくことが大切
p167 「これからの供養のかたち」 (祥伝社新書) 著者:井出悦郎

これから終活や葬儀などを考えられていらっしゃる方は是非この本を読んで頂きたいと思います。そして、何事も事前相談をして比較検討する事を心がけて欲しいです。

善光寺でも事前相談はいつでも承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

善光寺 副住職